研修の概要
医師として社会に初めて出た初期研修医の皆さまにとって、24ヶ月という限られた時間をどのように過ごすかは、とても重要です。その後、皆さまはそれぞれ臨床や研究、行政と様々な道へ進んでいくと思いますが、医師としての基礎を学ぶ最初の24ヶ月は本当に貴重です。
地域研修の1ヶ月研修も大きな意味を持ちます。ただ単に、「田舎に行ってきた」「離島を楽しんで来た」では皆さんの1/24を使うにはもったいないです。やはり、そこには「田舎に行って、地域密着の医療も見てきたけど、標準的な医学知識も学ぶことが出来た。」「離島で搬送とかの経験もしたけど、本を集中的に読む時間があって、今までの研修を効果的に振り返ることができた」と+αの時間にしてもらいたいと思っています。1/24の時間をどのように過ごすか。
それぞれの皆さまが専門科に進む前にやっておくべきことができるようサポートします。
当院では、学ぶ人が学びやすいように医学生、初期研修医、専攻医、それぞれと話しあった上で、研修を決めていきます。
「どんな主訴の患者さんもまずは、診療させてもらう」
を基本として、慢性疾患から急性期疾患まで地域の病院で遭遇する疾患全ての初期対応ができることを目標としています。
具体的には、当院で完結できる病態はそのまま入院後の対応を行い、急性期病院での集約的治療が望ましいと判断する場合には、適した処置をおこない、適したタイミングで搬送を行うことが出来る能力を身につけることです。
これは、今後医療が集約化されると考える中で、地域の1次、2次病院で勤務するにあたり必要とされるスキルです。将来何科に進むにも役に立つ能力であり、医師として基本のスキルです。
当院での研修目標
1.地域医療を見てもらう
(定期外来・訪問診療も含む)
2.臓器別ではない「主訴別対応」の診療を見てもらう
(救急車対応・初診患者の対応含む)
3.鑑別疾患をあげ、問診力と身体所見の取り方をトレーニングする
4.可能な手技は積極的に行う
(中心静脈カテーテル挿入・挿管・胸腔穿刺etc)
5.オンラインを使った勉強会に参加する
(標準的医療を地域で学ぶ方法を知る)
6.Journalの読み方を学ぶ
(2週間に1本程度)
病院が大きくないため、スタッフ間での距離は近く、研修医研修にも協力してくれています。以下に当院での一週間の一例を挙げます。
また、週末は外房の風光明媚な勝浦市を堪能してください。サーフィンなどのマリンスポーツ、釣りもできますし、勝浦漁港で揚がる新鮮な海鮮料理やB級グルメの勝浦タンタン麺など料理も最高です。興味のある方は、御連絡ください。
1週間のスケジュール
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
7:30-8:30 | ミーティング | 症例カンファ | PCC | PCLS | 症例カンファ |
8:30-13:00 | レクチャー | 病棟/外来実習 | 病棟 | 外来実習 | 病棟 |
13:00-17:00 | ER | +α | レクチャー | -21:00 ER | off |
PCC:プライマリケアカンファレンス PCLS:プライマリケアレクチャーシリーズ
当院で提供できる研修内容
日中は、整形外科、脳外科、内科と対応しておりますが、17時以降は、医師一人体制で科を問わず、対応しております。胸痛や頭痛といった急性期を診断しないといけないような内科疾患から、交通外傷、転落外傷も含めて、偏りなく初期対応をします。集約的治療が必要な場合は、亀田総合病院や県立循環器病センターへの転院搬送を行います。
1.救急車対応
当院は、夷隅郡市の救急輪番の90%をカバーしており、日中夜間問わず、救急対応を行っています。日中は、整形外科、脳外科、内科と対応しておりますが、17時以降は、医師一人体制で科を問わず、対応しております。
胸痛や頭痛といった急性期を診断しないといけないような内科疾患から、交通外傷、転落外傷も含めて、偏りなく初期対応をします。集約的治療が必要な場合は、亀田総合病院や県立循環器病センターへの転院搬送を行います。
2.救急初診対応
救急初診対応は、「熱が出た」「お腹が痛い」といったコモンな主訴で来院される患者様の対応です。軽症のケースもあれば、その中に重症なケースも隠れていることがあります。しっかりと問診、身体所見をとり、鑑別診断をあげていきます。
その上で、必要な検査があれば検査を行い、治療を行います。重症である場合は、救急車対応と同様に搬送を優先することもあります。地域の特性として、釣り針刺傷・サーフィン外傷や、マダニ咬傷によるツツガムシ病やイノシシや鹿との交通外傷による受診などもあります。
3.定期外来診察
高血圧や糖尿病、脂質異常症といった慢性期疾患を定期的にfollowしていきます。慢性疾患のコントロールをすることが、急性期疾患の一番の予防です。中長期研修をするかたには、外来での患者教育や患者さんとの付き合いもしてもらいます。
4.各専門科外来
地域病院での専門科の役割を見ていただきます。将来、自分が進む科が決まっているような人でも、地域で必要とされる専門医の役割を早期に知ることで、研修病院での学びに役立ち、地域病院からの紹介に対して理解が出来るようになると考えます。
5.病棟管理
感染症、心不全、手術適応ではない外傷や腸閉塞など、多岐にわたる疾患に対応してもらいます。外来初療から対応するため、入院管理、その後の退院後の生活まで配慮した多職種連携まで行ってもらいます。
一連の対応を行うことで、病気についての学びだけでなく退院後の地域の援助や、施設と調整をしている相談員などの多職種との連携の必要性も学んでもらいます。
6.上部消化管内視鏡研修
希望者には、指導医の元、研修を行ってもらいます。
7.手術研修
鼡径ヘルニアや虫垂炎、胆嚢炎といったコモンな疾患から、消化管系の癌に対する手術まで当院で行っている手術に入ってもらいます。整形の手術の希望もあれば、対応可能です。
8.エコー検査研修
侵襲的ではない画像検査として、急速に有効性が高まっているモダリティです。心臓・腹部・胸腔・骨軟部組織・眼球といろいろな場面で有効性が高い検査となっているため、積極的に研修をしてもらいます。
当院では、患者さまでの実践も行ってもらいますが、検査技師により、基本の当て方を指導してもらう時間を設けています。実践でのコツなどもいろいろ質問ができます。
9.グラム染色研修
感染症の診療を行う上での基本になります。自分で染める練習からしっかりと行ってもらいます。技師からの直接的指導と、典型例の検体をいくつか例題として見てもらうことで、実践力を高めてもらいます。
10.透析管理研修+呼吸器研修
当院では非常勤の腎臓内科医師の協力の下、維持透析患者様のコントロールを行っています。腎臓内科に進まない初期研修医や医学生にとっても知ってもらいたい透析の基本について技師と腎臓内科医師から指導をしてもらいます。
臨床検査技師による呼吸器の勉強会も行ってもらっています。
11.リハビリ見学
医学生や、大きい病院で研修をされている初期研修医の皆様は大学などではなかなか見学できていないかもしれないリハビリテーションの見学をしてもらいます。患者さんにどのような動きのサポートをしながら、評価とトレーニングを行っていくかを体験してもらいます。
12.訪問診療研修
一番地域医療のイメージがあるかもしれない訪問診療。地域で生活している方の日常に「医療」があるということを感じてもらいます。
様々な家庭があり、それぞれの人生があります。ターミナルケアを自宅で行っている方や、通院困難なために訪問診療導入している患者様もおられます。普段大学や、研修病院での院内で提供される医療とは異なる一面をみてください。
13.消防隊救急活動1日体験
当院は、夷隅郡市の救急輪番の90%をカバーしており、日中夜間問わず、救急対応を行っています。地域の消防の方々には日々お世話になっております。
そこで、院外での救助活動を知ることで、院内での救急対応に活かしてもらう目的で1日体験を用意しています。救急隊の方と1日行動を共にしてもらうため、消防内で「消防飯」も食べてもらいます。